ネタバレのみ映画感想

視聴した映画の感想を淡々と書きたいです。

その住人たちは

あらすじを読んで微妙かもと思う時はとりあえず検索してみるのですがパラサイトという映画のタイトルなんかも見えたりで、ああいう感じなのかなと少し迷いましたが視聴。

大まかに言うと、まず序盤は元重役の現無職、妻と息子のいるハビエルが就活に失敗し続けこれまで住んでいた賃料の高い家と車を手放さなくてはならない流れです。

就活はですね。
新人枠に応募しこれまで手掛けた仕事を紹介してベテランぶりを見せつけるもやはり断られ、駐車券的な何かを無料で使うにはコードが必要らしくそれがないのでそれも断られるも食い下がり続けているところにハビエルを面接したうちの一人である女性が通りかかり、彼女のコードを使わせてもらうという惨めな出来事もあり…
次の面接は好感触で本人も乗り気でしたが研修期間は無給という項目があり影で格安要員扱いを受けたのを知ったりと散々です。
引っ越しも車を売るのも待ったなし。(彼のせいで実際には車は売れなくなりますが)

そして家庭でも上手くやれているとはとても言えない男ハビエル。
息子ダニがからかいの対象になっているのを本人から聞いて知り(彼はぽっちゃりした少年)、ダニに運動させようとジョギングに誘うも吐くまでやらせてしまって妻マルガともめてしまったり。
息子が同じ部屋にいるのに「気付きやしないさ」とマルガにエッチなお誘いをしてみたり。
気になるのはこれまでずっといい父親ではなかったのかなと想像させる程度にダニは父に対してドライなのです。

冴えないオヤジで不憫さもあるのにこの時点で既に個人的にはなんだかあんまり応援する気にならない男なんですよねハビエルって。
なんかいけすかない臭が彼の言動の端々から溢れてるというか。
二度目の就活に失敗した時に車を蹴りまくったのもそのひとつ。
ですがそれを切っ掛けに冴えないオヤジとして以外のストーリーが進んでいきます。

賃料の高い前のお家を見に行き現住人がいるのを確認したハビエル。
鍵は持ち続けています。
その鍵を使い不法侵入した彼は部屋を物色し現住人の情報を得ていきます。
住んでいるのはトマスとララ夫婦、娘が一人。
断酒会のコインやそれにまつわる過去の過ちなど彼のことを知り、トマスに近付き始めるのです。

トマスの通う断酒会に参加し依存症を装い盗み見た彼の情報から創作した人生に挫折た様をみんなの前で語るなどしてアピールした結果、彼と会話を交わすことに成功し知り合う事ができました。
うまくやりトマスの家(自分の元の家)に遊びに行くことができたハビエル。
そこでハプニングが。
庭掃除をしていた男性が前の住人であるハビエルに気付き声をかけて来たのです。
無視したかったが避けられないので諦め返事をし、どうにかやり過ごします。
そして招き入れられトマス家の中へ。
玄関から中に入る時、そして入ってから窓の前に立つまでのハビエルの顔付きがおかしくどう見てもやばい奴なんですが全然不審がられませんw
こうして若くして社会的に成功しており家族仲も良く幸せそうな現住人の生活を垣間見たのです。

ここあたりからもうイライラする展開が止まりません。

訪問した際に会ってしまった庭掃除の人に実は不法侵入を知られていて(名前覚えてません)まだ幼いトマスの娘の洗ってない下着を持ってくるように要求され、我が身かわいさにもちろん盗んで渡し、更に部屋にカメラを付けるように脅されます。
この取り引き場所にくるまでにハビエルを怪しみ尾行していた妻マルガをどうにかするため予約もしていない教室へズカズカと入っていき出ていくよう何度も言われるも、異常な図太さを発揮して粘った末に誤魔化せたのか彼女がいなくなるターンがあるんですが、それがすごい気持ち悪かった。
この彼の異様な態度を見ている人は何人もいるんですがなりふり構わない姿が見苦しいほどなのにまわりからどう思われようとも、多数の人に明らかに迷惑をかけていていようとも自分の欲しいもののためなら気にしない性格なのだと思いました。

ハビエルは同時進行でトマスにもグイグイ仕掛けていきます。
泥酔し事故を起こした設定でわざと車を衝突させトマスに助けを求めます。
人のよいトマスは急いで駆けつけてくれ、ハビエルの無事を確認し彼の手から酒瓶を取り上げるのですがその拍子に中の酒が撒き散らされて体等にかかってしまいました。
酔ったフリをし「君の成功ぶりを見たのがきつくて酒に手を出した」と言い出すハビエルを諭すため自分の妻が社長の娘だから副社長であること、どんなに頑張っていても得た結果はその恩恵としか思われないこと、依存症の者にとって酒とはアレルギーみたいなもので自分はピーナッツ一粒で死んでしまうが正に酒はそれと同じなんだという余計な情報も添えてしまいます。
そして何故かトマスの妻ララに心配をかけたくないからこの事は秘密にと頼まれトマスは快諾。
知り合ったばかりの相手の奥さんが心配しないようにとか適当な言い訳にしても厚かましいなと思いましたw
そしてハビエルは電池切れと偽りスマホを借りて自分宛てに飲んでしまった等とメールを送信するのです。
嫌な予感しかしないですねw

そんなこんなでトマスは帰宅後お風呂へ。
お酒くさいのを飲酒と思って詰め寄るララに、口止めされた今日の出来事を話して誤解を解きます。
それを聞いたララは後日ハビエルにトマスともう会わないでくれと頼むのです。
悪影響でしかないですもんね、お酒を断てずトラブルを起こす人を身近に置くのは。
ここでまた腹の立つ小芝居をするハビエル。
酒を飲んで連絡してきたのはトマスの方で助けたのは自分だと言うのです。
例の自分宛のメールを証拠にする気なのです。
それを見せララを信用させてしまいます。

ハビエルうぜー!とお腹いっばいになってるのに流れるように事がうまく運ぶのみです。
満腹の合間にもハビエルは家でこそこそと事前に用意した物に液体を注入したり何やら細工をしてますがマルガはハッキリわかりはしないものの夫に疑心を抱いてます。

話を戻しますが、メールの件で当然トマスとララはもめます。
そしてのこのこトマスの会社に現れトマスを煽り皆の前で彼に殴らせ怪我を負い、腫れた顔を引っ提げその足でララの元に行くという胸糞さ。
旦那が殴ったのなら全然よく知らないオッサンでも迎え入れないといけないものなのでしょうか…
トマスを煽りララ宅に入り込むまでの間に変態庭掃除の人は上に書いたハビエルの細工により機械から発火して燃えます。
その人が救急車で運ばれていく横を通ってララのところへやってきたのです。

ララに手当てされながら彼から暴力は受けてないか探りを入れるハビエル。
彼女の顔の傷はトマスのせいでできたものだと不法侵入の時に知っているので彼女の心を揺さぶるための会話です。
飲酒運転によりできた傷なのですが揺さぶりは成功の様子。

ララと過ごしたあと家に帰り、マルガに車を売った金が振り込まれていないと言われますが無視して部屋に鍵をかけて荷造り。
驚いてるマルガをよそに息子ダニに話しかけるもダニはハビエルを拒絶するようにドアを閉じてしまいます。
マルガは会話を求めましたが冷たく別れることだけを言い残し妻子を捨てホステルへ。

以前仕事を一緒にした体操選手に会わてあげるとララとその娘とお出かけします。
二人とも嬉しそう。
選手にも入ってもらいみんなで記念撮影します。
それをこそこそとトマスに送るハビエル。
送られたトマスは現在ホテル住まいのようで、写真を見てスマホを投げつけるシーンが入ります。
帰りのタクシーで娘はハビエルにもたれかかる形で眠っているんですがその肩に腕を回して抱き寄せ、それを見て微笑んでいるララ…
そいつ娘の着用パンツ盗んで変態に渡した外道やで…とか、いや高身長でスタイルもよかった旦那さんを選ぶような人がこんなおじさんに惚れるかなぁ…とか思うことは色々ありましたがとにかく無双状態です。

家に着きハビエルの腕から娘を引き取り解散を促すララ。
それを見ているトマスの車内には酒瓶が。
あー飲んでしまったんかトマス…
そしてその勢いのまま家に乗り込み妻を問いただすのです。
酒を飲んでハビエルに助けを求めたことにされた時も思ったけどスマホ見せたら良くないですかねこれ。
送信メールは消しただろうけどトマスのスマホから警察やらに連絡したのは本当だし、それをトマスが引き起こした事故でないのは彼の車見てりゃわかるはずだし。
それが消されてたとして今回は写真送りつけてきて楽しくやってるよみたいな一文まであるのを見せればいいのに。
酔いと怒りでそんなこと考えられないって感じなんですかね。

で、酔って荒れているトマスに危険を感じ護身用スプレーを吹き掛けるララ。
トマスは間もなく呼吸できず苦しみ始めます。
ここでもハビエルの不法侵入と細工が生きます。
ピーナッツエキス注入済み護身用スプレーだったのです。
やがて動かなくなったトマスを見て何故かハビエルに電話し殺してしまったと狼狽えるララですが、すべて見越し家の前で待機してた彼はぬけぬけとわざとらしい事を言いつつ家に向かうよと答えます。

家に入ると大丈夫だからとララを娘のいる部屋へ押しやり何かしようとしているハビエル。
するとトマスの目が開いてるのに気付きます。
まだなんとか生きていたのです。
ですが二人のいる部屋を注視しながら速やかに鼻と口を塞ぐのでした。

時は進みトマスの持っていたすべてをまんまと手に入れているハビエルがいます。
そこへ彼の妻だったマルガが訪ねてきて会議室で再会します。
彼女はハビエルのした事に気付き彼の捨てた証拠(注入物の瓶など)も回収しており、それを警察に渡すと言いに来たのです。
なぜわざわざ!!!と言わざるを得ないw
黙ってやればいいのに!
焦りを見せるもやればいいと言うハビエル。
ダニのために貯めた養育費等を渡せなくなるよ弁護団を雇うからな等と言い出します。
本気なのかと問い、明らかにトーンダウンするマルガ。
絶対ないって、貯金はあるだろうけどダニのためのものじゃないよ、普通に嘘だよってめっちゃ思いましたが…
マルガを残しその場から去り、自宅に戻って窓から外を眺めているハビエルの背後に見えるキッチンの蛇口。
そこからポタポタと落ちる滴を振り返るハビエルで映画は終わります。

うまくいきすぎだしすべて完璧な計算の上で成り立ったことなのだとしたら強運で頭も切れて、なのになんでこのおっさんずっと無職やったん?と不思議でならない。
元は出世もしてお金もあったのは間違いないけどこの人の行いを見るに正攻法の出世ではなさそうに思えます。
これだけジタバタできるなら何故就活に生かさなかったのか。
あと何をして職を失ったのだろうとも思いますね。
彼の人間性故に相当な何かをやらかしたのかと疑いますが。
あとまわりの人も意志がないみたいに操られすぎで。
本当にただただスムーズ。
突っ込みたいことはまだあるしもっとグチグチ言いたいですがやめておきますw

それらの総評としてつまらない映画でした。